hashabye’s diary

自動車メーカーに30年近く勤めた経験から、自動車にまつわるいろんな話や、現在治療中の病気・治療法について書いていきます

原価低減で泣けた話

以前話したとおり、自動車会社が売れなくなると、原価を下げる動きに拍車がかかります。海外向けの販売を担当していた頃、けっこうたまひゅん(男性のアレがひゅんってなるようなひやひやする事態)な経験をしました。

1.アンテナ勝手に動かすな

もともとそのセダンタイプのモデルは屋根の後端にラジコンのアンテナのように格納できないアンテナを備え付けていたのですが(海外はあまり自動洗車機や立体駐車場に対応したような折りたたみ機能は考えていない)、ある日輸入代理店から怒りの電話が。曰く「アンテナの場所が屋根の後ろから前に移っている!」と。担当者も寝耳に水で設計に問い合わせたところ、およそ1ヶ月前に変えたと。だいたいこのような仕様変更でお金がかかる場合は価格に上乗せしなくてはいけないので、営業担当者に事前連絡があるが、原価が下がる場合は勝手にやってしまう。現地の輸入代理店は「カタログの在庫がたくさんあるのと、法律上届けてある写真と外観が異なるクルマは売れなくなる」ということで青くなって改造などの対応方法について検討しました(結果、現地代理店の担当者が現地政府と掛け合って問題なしになった)。ハーネス(電線)が短く出来るので原価低減とか、いくらの話をしているのか。。

設計は外人でもコミュニケーション障害持ってるんじゃないかというくらい、勝手に仕様変更をやるので、常に連絡するように言っているのですが、マネジメントからの原価低減プレッシャーが強いためこんなことが起こってました。

2.色を変えたら

工場の近い、提携先の企業と、塗色を共通化して原価を安くするという提案がありました。その地域ではメタリック車にはサーチャージ(特別塗色料金)がとれると言うことで、まぁ、いいんじゃない、という風に考えていたところ予想外の事態に。

(メタリック・サーチャージを顧客にチャージしても、原価はほとんど変わらないため丸儲け、ただしソリッドカラーが無いと差額が取れない!)

ソリッドの黒が無くなって、若干メタリックが入ったところ、ある国のタクシーはソリッドじゃ無いと法律でダメ!といわれてたまひゅん。「お前、ウチのタクシー需要、殺してくれるのか、あーん?」って感じで電話がかかってきました。(こっちも交渉の結果多少のメタリックであればOKに)

 

とにかく台数は信用されていなかったので、単価を下げよう下げようという動きが激しかったです。