原価低減で泣けた話
以前話したとおり、自動車会社が売れなくなると、原価を下げる動きに拍車がかかります。海外向けの販売を担当していた頃、けっこうたまひゅん(男性のアレがひゅんってなるようなひやひやする事態)な経験をしました。
1.アンテナ勝手に動かすな
もともとそのセダンタイプのモデルは屋根の後端にラジコンのアンテナのように格納できないアンテナを備え付けていたのですが(海外はあまり自動洗車機や立体駐車場に対応したような折りたたみ機能は考えていない)、ある日輸入代理店から怒りの電話が。曰く「アンテナの場所が屋根の後ろから前に移っている!」と。担当者も寝耳に水で設計に問い合わせたところ、およそ1ヶ月前に変えたと。だいたいこのような仕様変更でお金がかかる場合は価格に上乗せしなくてはいけないので、営業担当者に事前連絡があるが、原価が下がる場合は勝手にやってしまう。現地の輸入代理店は「カタログの在庫がたくさんあるのと、法律上届けてある写真と外観が異なるクルマは売れなくなる」ということで青くなって改造などの対応方法について検討しました(結果、現地代理店の担当者が現地政府と掛け合って問題なしになった)。ハーネス(電線)が短く出来るので原価低減とか、いくらの話をしているのか。。
設計は外人でもコミュニケーション障害持ってるんじゃないかというくらい、勝手に仕様変更をやるので、常に連絡するように言っているのですが、マネジメントからの原価低減プレッシャーが強いためこんなことが起こってました。
2.色を変えたら
工場の近い、提携先の企業と、塗色を共通化して原価を安くするという提案がありました。その地域ではメタリック車にはサーチャージ(特別塗色料金)がとれると言うことで、まぁ、いいんじゃない、という風に考えていたところ予想外の事態に。
(メタリック・サーチャージを顧客にチャージしても、原価はほとんど変わらないため丸儲け、ただしソリッドカラーが無いと差額が取れない!)
ソリッドの黒が無くなって、若干メタリックが入ったところ、ある国のタクシーはソリッドじゃ無いと法律でダメ!といわれてたまひゅん。「お前、ウチのタクシー需要、殺してくれるのか、あーん?」って感じで電話がかかってきました。(こっちも交渉の結果多少のメタリックであればOKに)
とにかく台数は信用されていなかったので、単価を下げよう下げようという動きが激しかったです。
BMW部品の個人輸入
BMWの330eというクルマに乗っているのですが、ちょっと手を加えようとしても部品代が高い!スタッドレスのホイールにBMWのセンターキャップをつけようと思って調べたらうひょー。一個3000円で1万2千円かよ。
で海外から個人輸入をしました。
その時役に立つサイト
https://www.realoem.com/bmw/enUS/select
このサイトで車台番号(VINコード)を入れると部品番号が出てきます。
その部品番号をGoogleで検索するとだいたい出てきます。
まぁ、eBay経由が安心ですよね。
今のところ、バンパーのフィニッシャ、クラスタのカバーなど買ってますが、スロベニアや中国から届きます。今のところ加飾部品ばかりなので特に問題なし。
因みにホイールキャップは4つで送料込み1014円でした!
BMWはオンボードコンピューターのプログラムを自己責任で書き換えるというハックがあるのですが、その機械Vgate iCar Proも1409円で買えました。(日本のアマゾンで4000円前後)
まぁ純正ではなかったりお店も「私は」今のところ外れ無しなのでいいですが、自己責任でお願いします!
心房細動について
3年ほど前に心房細動のため足の付け根からカテーテルをいれて、心臓周りの手術をしました。
心房細動は、脈のリズムが狂った不整脈の一種で、生活する上で私の場合は「脈が飛んでるなぁ」とたまに気がつく程度で、全く問題ありませんでした。きっかけはマラソン大会に出たときに途中で全く力が入らなくなり倒れてしまった時にわかったものです。脈が速すぎてカラ打ちになってしまい、極端な低血圧になったのが原因でした。
とくに生活に支障がないものの、放っておくとワナワナ震えた心臓で血が淀んで、血栓になって脳に詰まる可能性がある、ということで手術することになりました。
過去心房細動から脳梗塞になった人には、小渕元首相、オシム元サッカー日本代表監督、長嶋元巨人軍監督がそうだったそうです。
2000年前後にフランスの医師が、左心房に入ってくる肺静脈の付け根で発生することを発見し、それから該当部分をレーザーで焼くという「カテーテルアブレーション」が有効な治療法だと言うことがわかりました。
手術自体は件数が多く、予約したのが3月で実際の手術は8月でした。
2泊3日で退院。全身麻酔だったので、寝て起きたら終わってたという感じでとくに問題ありませんでした。強いて言えば、尿道に入れていた管を抜くときは痛かったです。
そんな感じで前回のカテーテルアブレーションは無事終了、と思いきや。
その後の話はまた次回。
自動車:儲ける、とは。
自動車:儲ける、とは。
自動車業界は設備投資も大きいし、ノウハウが多いので参入障壁高そう、儲けるのも簡単そう、と思われるかもしれませんが、当たれば大もうけ、外れれば大損のばくち的な要素が強いです。
理由は、開発にかかる費用、設備にかかる費用(固定費。売れても売れなくてもかかるコスト)がけっこう高い点。計画台数より売れればその時点からまるまる利益になるが、計画より売れなければ固定費が回収できない。
開発にかかるお金は、あの巨大な開発センターで働く数千人単位の人たちの給料などを想像するだけでもかなり高い。
部品代などの材料費は売れなければかからないけど、開発費は売れなくてもかかってしまう。工場の人員も売れないからと言ってすぐ解雇できるわけではない。
つまり、自動車産業は「あたりはずれ」に大きく左右されるばくち的な側面が強いということ。
自分の聞いた話で今でも覚えているのが、あるエントリークラス(小さくて安い)のモデルが、廉価バージョンを出したところ、どんなに売れても価格設定上固定費をライフ(モデル導入から終了まで)で回収できないことが後からわかり、「売れば売るほど損をする」と後から語りぐさになったもの。
なので、営業は少ない台数を設定するとモデル導入自体NGになってしまうので、非現実的な多い台数を設定するとその数字にずーっと追いかけられるはめに。
「入るを量りて、以て出ずるを為す」とは昔から言われている言葉ですが、どれだけ売れるかというのは様々な科学的な方法を用いても不確定な要素が多いです。むしろ「このモデルは絶対導入したい」と多く設定したり「台数に毎日追っかけられるのはこりごり」と少なく設定したりするという恣意的な要素もあります。
なので、必然的に手っ取り早い、一台あたりの「原価低減」に走ったのが前職の例でした。
原価低減、通称「原低」についてはまた別の機会に。